2023.07.30 04:03まおうのまご 26「ねえチャコ、苺のヘタってどうやって取ればいいの?」「いや、普通に手で取れよ」「苺の粒って取らなくていい?」「お前苺ケーキ見たことないんか!? それだけで今日終わるわ!」「苺を洗うのって、洗剤使った方がいい?」「マヤ、もうお前分量をはかる以外のことやるな……。いや、やっぱりそれもしなくていい。もうそこでただ見てろ」「そんなの絶対暇じゃん。なんかやらせてあげようよ、苺切るのとかさ。ねえ、マヤくん」「優乃はなんで俺らの班にいるんだよ!!」「な、仲良くしてよ2人とも……」 その日は夏至が近かったので、学園内での夏至祭があった。各クラスそれぞれ役割が当てられ、マヤたちのクラスは料理係になった。クラス内で複数班を作り、班ごとにいろいろな料理を大量生産している最...
2023.07.30 04:02まおうのまご 11 マヤは悩んでいた。 目の前にある残り少なくなったメロンパンと、少し離れたところにあるコロッケパン。人の波に揉まれながら、己の欲求と戦っていた。 今ならコロッケパンの方に移動してもラスイチをゲットできるだろう。でもそうなると今ギリギリまで手を伸ばしているメロンパンはきっと誰かに奪われてしまう。この学園のお昼時の購買は戦争と言っても過言ではない。取るか、取らないか。 正直マヤは今日どうしてもコロッケパンを食べたい気分だった。それでもメロンパンと迷っているのは、隣の席のギャルに「あーし今日体育委員で集まりあるから代わりにメロンパン買ってきて!」と頼まれたからである。どうする、メロンパンを取るか、取らないか。「ギャルの怒りは買えない!」 悩んでいる間にもメ...