2024.09.19 11:55恋と言い難いが文とどまれない1 今年は九月一日が月曜だったから、キリよく九月頭から登校だった。八月いっぱい夏休みだったからか、余計長い長い夏休みに感じた。 そんな憂鬱な九月一日の朝、黒野家リビング。「お母さん、俺のシャツ知らない?」「はぁ? ないことないでしょ」「ないから聞いてるんだって」「……あ、クリーニング預けたままだったな」「え、俺何着ればいいの」「お父さんの着てけばいいじゃん」「絶対デカイし絶対服装検査引っかかるけど」「あーもう朝からうるさいな。じゃあパジャマで行けば? こっちは気効かせてクリーニング出したんですが?」「……」 これが俺のお母さん、黒野由実。多分、アリかナシかで言うと難アリな方の人間だ。気効かせてクリーニング出すんなら間に合うように取りに行くべきだろ。ちな...
2024.04.22 12:07陰キャども1「カノジョをつくってみたい」「エ〜〜〜ッ」「お前そういう感情あったん?」 まあそうだよな、だって俺ら高校2年生の男だし。そりゃあ彼女の1人2人は欲しくなるはずだ。そう理解は出来たけど、それを発言した人物が意外すぎて、俺はぽかんと口を開けたままそいつを見た。「カノジョを、つくってみたい」「聞こえてるよ」「お前が言うとアレだな、彼女を『創造』しそう」「恋愛が出来るんならそれでもいい」 この話題の中心人物、漆千佳(うるしちか)はいつも通りの真っ黒な瞳を真っ直ぐ前に向けたままそう言った。真っ直ぐ前、つまり俺のいる場所。意外すぎて動揺はしたけど、俺はお弁当を食べる手は止めなかった。「正しくは、俺は恋愛をしてみたいんだ」「……恋愛ねぇ」 ああなるほど合点がいった...
2024.04.22 09:24【ゴコイチ&陰キャども】「多分友達?」⚠注意⚠ゴコイチと陰キャどものクロスオーバーです。自創作のクロスオーバー!?気狂いです!2グループの関係性は大体こんなかんじです。↓
2023.08.29 09:06恋とは言えないが凪いでもいない1 木闇凪は頭が悪いし口も悪い。最低な他己紹介だけど、これは事実だ。「ハ? そんなつまんねぇことやってはしゃいでんのか? ダッセぇな」 これは俺も覚えている。ひっそりと休み時間を過ごしいてた俺達すみっこ族の元にも届くくらい、教室の空気が凍りついていた。よく通る声だった。 木闇の周りにいた人たちはただただ苦笑いを零していたが、内心苛ついていただろう。楽しく盛り上がっている空気中に、泥水みたいに重くて強い1滴。彼ら1軍が湧いていた話のネタは薄っすらとこちらまで聞こえてきたが、正直気持ちのいいものではなかった。だから、木闇自体は怖い存在だと思っていたけど、その時ばかりは「よく言った」と心の中で称賛を送らざるをえなかった。 当の木闇本人はいきなり黙ってしまった...